シンガポールでの働き方 現地採用社員の場合
3ヶ月の研修期間を終えて、無事に現地採用社員として正式に雇用された。
海外就職における、現地採用社員と駐在員。これについては、いろんな人があらゆるブログで詳しく分かりやすく体系的に説明済みだと思う。
ので、私はうちの会社で実際に見たこと、感じたことをお届けしますね。
現地採用社員として採用された私の役割は、まずはシンガポール人スタッフの通常業務。それプラス、日本語で日本人に日本的なサービスを提供すること。
通常業務というのは、会社支給の制服を着てエプロンをつけて、商品を並べる、レジを打つ、電話に出て問い合わせ対応をしたり。日本のサービス業を想像してもらえれば、ほぼ間違いないと思う。
そこから先が、シンガポール人にはできない私が採用された守備範囲。
シンガポール国内に3万人から4万人住んでいると言われる、日本人のお客さんからの問い合わせに対応したり、日本人のお客さんに来てもらえるような、日本式のお店づくり。
つまり、日本の接客業でやっていたことをシンガポールで再現すればよかった。私にとっては簡単なこと。
それ以外の働き方は、シンガポール人に準ずる。
具体的には、例えば時間に関して。仕事をするのは勤務時間だけで、退勤時間1分後には帰ってる。残業なんて、残業手当が出てもほとんどやらない。若手が腰が痛いといっていきなり4日間病休をとって、その3ヶ月後に親知らずを抜いたといって8日間休んでた。
ちなみにそいつはその翌年、辞めた。
すごいなー。
あとは、仕事上での守備範囲を徹底する、とか。むやみに自分の仕事の幅を広げない。
例えば、私は和書と呼ばれる日本書籍の担当。でも、お客さんは洋書のことも文房具のことも聞いてくる。アジアあるあるだけど「わたしは知らない。あっちに行って聞いてくれ」で接客おしまい。日本だったら、隣の売り場の商品も、ちょっとくらい何か販売トークするじゃない?
ないわー。
さらに、日本人対応要員としては、洋書の売れ筋もおさえておきたい。意識高い系の日本人のお客さんに聞かれることもあるし、個人的興味も俄然あるから。そこで洋書部のシンガポール人先輩に聞くと「あんたはなにも知らなくていい。和書だけやって。洋書のことを聞かれたら、こっちに回してもらえばやるから」ですって。
すごいなー。
それに対して シンガポール駐在員の場合
現地スタイルで決められた仕事だけをやって、退勤時間になったらサクッと帰れる現地採用社員だけど、駐在員の働き方は対極だ。
駐在員というのは、日本の本社から現地に送り込まれる要員。部長や社長など、管理職になるパターンがほとんどで、クセがすごい現地スタッフの上に立って利益を生み出し続けないといけない。
現地での仕事に加えて、日本から遠隔操作でむちゃぶりが飛んでくることもよくある。
ただし、生活保障は抜群。お給料は日本での社員時代の約2倍。プールとジムが完備されたコンドミニアムと呼ばれる高級マンションの家賃も会社負担。さらに、子どもの学費もカバーされる。
でも、激務だったよ。現地スタッフはわがままばっかりで管理職のいうこと聞かないし、日本の上司からの無理難題もたくさんあった。
私のお給料を今すぐ2倍にしてくれるって言っても、いやかなーと思った。
もちろん、当時の私からは見えないところでいろんなことがあったんだろうけど。
そこそこのお給料で、そこそこのお仕事。
現地採用社員は、そこそこを追求するのに最適なポジションでした。