28歳新卒フリーター女もシンガポールで就職してみた⑦

「シンガポールに引っ越しました、今日からしばらくここで暮らします」

 と、Facebookを更新した。

 タイムラインに投稿完了した瞬間に、ポーン、と通知音がひとつ鳴って、メッセージが届いた。

『シンガポールにいるの? 仕事探してるんだって? 俺のビジネスパートナーがシンガポールで会社やってて人探してるから、よかったら紹介するよ。もう連絡済みだから、この電話番号に電話してみて!』

 飲み友達のひとりの、おじさんからのメッセージ、からの、いきなり急展開。

 ちょっとだけ迷って、すぐに友人の親切に感謝する選択。メッセージに載っていた電話番号に電話した。日本では十一桁だけど、こちらの携帯番号は八桁しかない。
 おそるおそる電話すると「明日、オフィスに書類もってきてもらっていいかな?」ですって。

 翌日、指定されたオフィルビルにバスと電車で向かおうとしたけど、滞在3日目で土地勘なんて全然ない。書Googleマップで検索したら、そのオフィルビルは地上50階、ドドンと3つ並んだ巨大タワーで、どう入ってどこに向かうのか、田舎者アイデンティティでは想像つかない。おとなしくタクシーに乗って、運転手のおじちゃんに場所を聞きながら向かった。

 セキュリティに場所を聞いて、受付でパスポート掲示を求められ、なんとか自力でオフィスに着いたのが30分後。提出した書類にさらっと目を通して「うん、いいね」で、内定。その場で就労ビザの申請手続きに入る。マジかよ。

 ここから私にふりかかる急展開がさらに加速した。「君の経歴からいくと、就労ビザ発給のためには4500ドル必要なんだけど、うちの給与規定でいくと2400スタートだから。差額を毎月返してね。大丈夫、どこの会社でもやってることだから」うん? つまり?? 給料水増しからのキックバック。マジかよ。

 でもそうか、どこの会社でもやってることなのか、と入国3日目でワケもわからずその場でハイわかりました、と返事をした。内定オメデトー。

 いきなり内定をもらったオフィスからの帰り道、そっかあ、私の査定価格は2400ドルかあ、3000くらいが相場だって聞いてたけど、相場より低いんだなあ、と若干しょんぼりしながら、頼れる友人ししもんさんに報告。するとすぐに返信が。

『給料キックバックはガチ違法。絶対政府にバレて下手したら強制送還で二度と入国できなくなる恐れもある。すぐに内定を断って、就職活動続けること。ダメ絶対!』

 おおお、そうなのか。そうだよね、冷静に考えれば。自分を見失ってあわや強制送還になるところだった。よしやめよう、サクッと電話で辞退。「一緒に頑張ろうよ! 絶対大丈夫だから」と粘られたけど、こちらも負けずに丁寧に断りの言葉を並べ続ける。数十分後、通話終了とともにビザの手続きも停止した。

 こうして、ひとつめの内定をキャッチして即リリースした。

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