28歳新卒フリーター女もシンガポールで就職してみた⑥

第三章

クアラルンプール経由のLCC格安航空券でチャンギ空港へ到着。クアラルンプール空港は、今では立派なLCC用ターミナルがあるけど、あの頃は搭乗ゲート前は、カンカン照りの外からの逆光で薄暗くて、テラス席かっていうくらい熱風が流れ込んできて、ゲートを出たら灼熱の滑走路のすぐをばを白線に沿ってずっと歩かされた。途中で隣の便の乗客の列に混ざって、別の国に行く飛行機に搭乗しそうになった。自立と自己責任でやっていかなきゃいけない、いよいよ海外なんだなー、とこのあたりから覚悟した。なつかしいな。

 クアラルンプールからシンガポール・チャンギ空港までは約50分のフライト。東京から名古屋の距離感にして国際線。そう考えたら日本って広い。
 チャンギ空港には、鹿児島の交流プログラムで出会った友達・ジョニーが車で迎えに来てくれた。荷物と私をピックアップしてもらい、そのままチキンライスの名店とやらに直行。シンガポールで初めての食事がそれだった。ドンとご飯の上にババーンとスライスされた蒸した鶏肉がのっかっているのが、写真でよく見るチキンライスのイメージだけど、そのお店は上品に別々に盛り付けされている。半身の鶏肉の上に、目の前でサラサラのソースをばしゃーんとかけてくれる。ごはんは小ぶりのお茶碗みたいなものによそわれていて、うっすらダシの色がついてて、このご飯がまた美味しい。
 ジョニーは親切にも、さらにおかずを注文してくれた。一口サイズの豆腐に薄い衣がついてる揚げ物を、マヨネーズみたいなソースで食べるナニカ。豆腐が絹ごし豆腐よりもなめらかでふわふわで、それも超美味しかった。
 異文化はまず「食」から! というのが私のモットーで、これは美味しい! 私、住める! と、俄然やる気が出た。
 
 その後も、たくさんのお店でいろんなチキンライスを食べたけど、最初に食べたあのお店のあの味が、今でもいちばん美味しい。

 ランチの後に、ししもんさんが暮らすホステルでおろしてもらう。ジョニーは颯爽と帰っていった。友達ってほんとありがたい。シンガポールは家賃が世界一、相場は3LDKで約30万円。しょえー! 日本からの駐在員は会社負担で住めるけど、私が狙う現地採用枠は家賃自己負担。もちろん毎月30万円の家賃なんて払えるわけがないので、シェアハウスを探すことになる。それでも3人暮らしでひとり10万円…。
 ししもんさんが暮らすゲストハウスは、4人部屋で毎月約5万円だった。仕事が決まるまではと節約生活を覚悟して、しばらくお世話になることに。

 翌日からいざ動き出す。
 現地の就職エージェントにメールで問い合わせをして、返事が来たら書類データを添付して送る。赤ペンいくさん先生に面倒みてもらった秀作をー! 気合いを入れてぽちっとメール送信。

 入国して3日目、就職活動2日目にして内定をもらったのは翌日の事件でした。

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