28歳新卒フリーター女もシンガポールで就職してみた②

とりあえず故郷に帰ってみた。
羽田から飛行機で約2時間、海と山に囲まれて、降雪よりも降灰が多くて、食べ物が美味しくて、いつでもどこでも楽しく酒盛り、そういう私の街、鹿児島県鹿児島市。画数が多くて昔は嫌いだったけど、何度帰っても家族も友達もおかえりと言って迎えてくれる田舎、ひとりで七転八倒した挙句に好きになった。
勢いよく実家に転がり込んで毎日ゴロゴロして、夜は友達に遊んでもらったり焼酎を飲んだり、飲んだり。

せっかく卒業したのに、まるで学生時代に戻ったように過ごしていたら「そろそろ働け」と友達が仕事を紹介してくれた。仕事があれば働くことは好きなので、よく働いた。よく働いたらよくお酒を飲んで、また働いて。
仕事とお酒の合間に行った合コンで、年下の彼氏もできた。素直で優しくておとなしい、真面目な彼氏。
あっという間に28歳になった。

仕事をして、家族や友達と過ごして、彼氏もいて、相変わらず楽しいままだった。
いや多分、嫌なこともあっただろうけど、それを差し引いてもありあまる幸せだった。

私、ずっとこのままいられるのかな。
30代になっても、ずっと楽しいままで。
このままでいいのか、このままでいたいのか。

考えてみた。
田舎は楽しい。しかしどうにも給料が安い。当時の月収約15万円。
同僚や上司はありがたいけど、単調な仕事に飽きてきた。転職しようにも、26歳新卒という事実でドン引きされたあの体験は未だにうっすらトラウマだし、特殊能力も実績もまだないし。

ああ、そっか。私、もっと挑戦したいんだ。今ここにある幸せを全部手放してでも。
新しい挑戦をするために東京を離れたのに、住む場所を変えただけだ。私まだなにもしてない。

よし、一度も試したことがない、全く新しい何かに挑戦しよう。主に仕事内容と収入面に関して。あと住む場所!
20代の今ならどうにかなる。かもしれない。もしもどうにもならなくても、きっと大丈夫。また実家に頭下げて転がり込んで、元どおりの日々になるだけだ。

覚悟を決めた。何をするかはさておき。家族には「挑戦する!」とぼやけた宣言をして呆れられ、素直で優しい年下の彼氏には待っててくれと頼みまくった。
友達は応援してくれた。いつもと同じ調子で酒を飲みながら話したから、あっちもこっちも酔っ払っていただけかもしれない。

こうして私のゆるやかな挑戦が始まった。

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ゆきの

ゼロからいきなり海外転職も9年目。香港、カナダ、シンガポール、中国で現地採用、起業、さらには大学院留学まで。独学でTOEIC910取得、HSK6級合格。泣いて笑ってそれでも生活は続く、中国深センのリアルな日常を発信します。

シンガポール現地採用エッセイ
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