という質問をいただきました。
日本と海外を比べて、海外ってそんなにいいの?
答えは半分イエスで、半分ノーです。
日本特有の息苦しさやしんどさからは開放されるけど、別のストレスがじわじわやってきます。
28歳で九州の田舎を飛び出してシンガポールで暮らして、1年ほど経ったころ。休みの日に観光スポットを巡ったり、バスと地下鉄を乗り継いでオシャレなカフェに行ったり、なにをやっても楽しかったのにだんだん飽きてきました。
外出するエネルギーがなくなり、休みの日はKindleでポチったマンガを読んだり、Youtubeを見てだらだら過ごすように。つまり日本での休日の過ごし方と全く変わらない。
旅行気分が抜けたというか、観光客から地元住民になったというか。海外生活にも、海外にいる自分にも慣れてきたんですね。
これは海外在住者が誰でも感じることで、早い人は半年、だいたいの人は1年経ったらその土地での仕事と生活に慣れて飽きてしまいます。
こうなるとなにが起きるのかというと、いちばん長く暮らしていた日本での快適な生活を気づかないうちに求めてしまい、その基準に足りないとついイラッとするように。
具体的に私がシンガポールでガツンとぶつかった「慣れ」と「飽き」の壁は、物価が高いことと最悪なサービス。ほかにもいろいろありますが。
注文した料理がいつまでたってもこない、自分より後に注文した隣の人に先についてるのにまだこない、イライラ。
このまま黙っててもイライラするだけなので、勇気を出して「料理まだ?」と聞くと「今つくってる」と即答される。いったん確認してくれてもいいじゃない。よく聞かれてうんざりしてるんだね。待ちくたびれて、ドンッと乱暴にランチプレートをサーブされる。
これでお会計は2300円。消費税8%にサービス料10%が自動加算。サービスなんか受けたかな…。
その一方で、安いマッサージ屋での出来事。にぎやかなおしゃべりはまあ慣れるとして、片手で足裏マッサージ、片手でスマホをタップし始める。おいおい。まあ安いからしょうがないか。
いちいち怒るのもエネルギーがもったいないので黙っていると、スマホがエスカレートとしてついに両手で高速タップ! 私の足裏をぐいぐいタップしてくれよ!
旅行者気分なら「アジアあるあるだよね」と笑い話で済みますが、日常生活でのイラっと刺激はじわじわと蓄積されていく。
日本の接客サービスは世界最高峰なので、その最高水準のままでアジア海外生活にシフトするとしんどいです。
こころと時間にゆとりをもつ
期待値を低く
気長に待つ
はっきり! ばっちり! 主張する(待ってても何も起きない)
アジア現地生活に必要な心得はこんなカンジでしょうか。当たり前じゃん、と思われるかもしれませんが、意識してないとなかなかうまくできません。(日本の手厚いサービスに慣れきってしまっていたから!)
日本でも日本じゃなくても、生活を続けていれば「しんどさ」はもれなくついてくるんだな、ということを学びました。その大きさや形はさまざまなんだな、とも。
これは日本を離れて暮らして、比較して手に入れたひとつのものさし。
生きることはしんどいこと。
そのしんどいことを因数分解すると、ワクワクや経験値や新たな発見が含まれている。きっとそういうものなんじゃないかと、最近は感じるようになりました。